私たちが見ている世界は、実は目で見たままの“現実”ではありません。脳は目から入った情報を瞬時に処理し、「解釈」して見せています。この解釈の過程で、周囲の色、形、大きさ、光の条件などに影響され、本当とは違う見え方をしてしまうことがあります。これが 目の錯覚(錯視、Optical Illusion)です。
錯覚は日常生活でもよく起こります。例えば、同じ色なのに明るさや背景によって違って見えたり、同じ大きさなのに形が違って見えたりします。これは脳が「効率よく」情報処理をするために、周囲の文脈を利用するからです。
脳はすべての情報を一つ一つ正確に処理しているわけではありません。
このような仕組みが、私たちを錯覚に導きます。
二つのボックスの中央にあるピンク色は同じ色ですが、背景色の違いにより、片方は明るく、もう片方は暗く見えます。 これは、同時対比効果(Simultaneous Contrast)と呼ばれます。周囲の色が、中心の色の明るさや色味を変えて感じさせます。
中央の四角形は同じ色でしょうか?
中央の小さな四角形をドラッグして動かしてみてください。信じられないかもしれませんが、同じ色です。
中央の丸い円は、片方が大きく、もう片方が小さく見えますが、実際は同じ大きさです。 これは、エビングハウス錯視と呼ばれます。周囲の円の大きさが、中央の円の大きさの知覚を変えてしまいます。
中央のまるい円は、どちらが大きいですか?画像をクリックしてください。
交差している点を見続けると、その交差点が白く見えたり、他の点が消えて見えます。 これは、Troxler効果と呼ばれます。視線を一点に固定すると、周辺視野の刺激が脳で抑制され、見えなくなる現象です。
ドットを数えてみましょう。何が起きていますか?
交差している点の 1 つに焦点を合わせると、その交差しているを見ている間は白くなります。しかし、他の交差している点はどうでしょうか? つまり、目に見えるものを信用できないことがある、と言う事です。
斜めの色パターンの影響で、実際には平行な線が斜めに傾いて見えます。 これは、カフェウォール錯視と呼ばれます。高コントラストの色パターンと境界線が、視覚的な傾きを生み出します。
画像をクリックすると、四角の中の色が消えます。これらの線が平行だと解る様になりました。
円の中に「6」や「2」の数字が隠れています。色覚に異常がある場合、数字が見えにくくなります。 これは、色覚の個人差と呼ばれます。特定の色の区別が困難な人は、色相差を利用した図形を認識できません。
1つ目の円には、「6」、2つ目の円には、「2」という数字が見えるはずです。そうでない場合は、色覚検査を受けることを検討してください。
欠けた文字や形でも、脳が自動的に補完して正しい形として認識します。 これは、ゲシュタルトの法則と呼ばれます。人は部分的な情報から全体像を推測・補完します。
私たちの脳は、単語を一文字ずつ読むのではなく、単語全体を読解します。
網膜の疲労、背景効果、照明、周りの環境は全て、私たちが色を知覚することに影響を与えます。特に製品開発や品質管理では、錯覚による判断ミスが大きな損失につながることがあります。これを防ぐために、カラーテクノロジーを活用し、主観を排除し、正確な評価を行う必要があります。
標準光源装置は、店舗の照明だけでなく、昼光色、LED照明、電球色など、最終的な照明環境を想定でき、商品の色をシミュレーションすることができます。複数の素材を組み合わせて作った製品の場合、あらゆる照明条件下で各素材の色の調和を確認することができます。
人間の目は周囲の影響を受け、色を判断していますが、分光測色計ではその様な事はありません。分光測色計は、対象となるサンプルエリアからの反射光を測定するだけです。ターゲットマスクから見える対象物だけを測定しますので、周囲の影響を受けません。すなわち、装置は測定口から見たターゲットをそのまま観察します。
仕事で色を判断する必要がある場合は、色覚の検査をした方がよいでしょう。
真の色覚分析を行うには、Farnsworth-Munsell 100 Huetest(ファンズワース・マンセル 100 ヒューテスト)をお勧めします。
Q1:目の錯覚を完全になくすことはできますか?
A1:完全に防ぐことはできませんが、標準化された光源や分光測色計を使用することで、色判断の誤差を大幅に減らせます。
Q2:なぜ人の目は簡単にだまされるのですか?
A2:脳が情報を効率よく処理するために、周囲との比較や過去の経験を使って解釈するからです。
Q3:カラーテクノロジーはどの業界で役立ちますか?
A3:印刷、パッケージ、繊維、塗装、自動車、家電、食品など、色品質が重要なあらゆる業界で利用されています。
Q4:分光測色計と色見本の違いは何ですか?
A4:色見本は目で比較しますが、分光測色計は光を数値化して比較します。より正確で客観的です。
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