色彩感覚(パート1):光からの影響

Posted January 06, 2020 by X-Rite Color

色の見え方を言えば、私たちの目は騙されることが多くあります。原因としては、私達の脳が膨大な情報の量を管理し、最善の方法で処理することです。また、遺伝や環境等の影響もあります。そのため、私達は誰でも少しずつ違った色を感じています。しかし、私達が見る色に何よりも、最も大きな影響を与えるのは光です。  

ここでは、光が色の知覚に与える影響について、わかりやすくご紹介します。

青い光、青と赤の光、青・黄色の光、赤みがかった青い光、緑の光、反対色

RGB 色度図

光の色温度

虹色(ROYGBIV)と呼ばれる可視光線のスペクトルは、約380〜720ナノメートルの光の波長を含み、赤、緑、青の3原色に分解することもできます。この3原色を様々な組み合わせで混ぜることで、何百万色もの美しい色を作り出すことができます。加法混色の場合、同じ量の光を混ぜると、その色が白として認識されます。  

 

これが加法混色の基礎です。

 

白は色がないのではない

奇妙に聞こえるかもしれませんが、物体そのもの自体には色がありません。どの波長の光を吸収し、どの波長の光を反射するかという性質を持っています。その反射光が人間の目に入り、色として認識されます。

街灯の下に置かれている赤い車を思い浮かべてみてください。ハロゲンライトの光ですべての色が照らされていますが、私たちは赤しか見えていません。理由は車の塗装が白色光のうち、緑と青の光線を吸収し、赤を反射しているからです。その車を見ると、反射した赤い光を網膜が受け取り、その情報を脳が受け取り「このクルマは赤いです」という判断をします。

ただし、太陽光の色温度が変化すると色合い影の部分の色が変化します。こちらの動画でご覧いただけます。

昼間の太陽光の下では確かに赤く見えますが、夜空の下ではより青色によって見え、蛍光灯や地平線の日光の下ではより黄色く見えます。しかし、基準となるものがなければ、どれでもただ赤く見えるだけです。

 可視スペクトル、色スペクトル、異なる波長

色温度(ケルビン)

人間の色覚と色の記憶

私たちの脳は、物体がどのように見えるべきかを「学習」しており、この知識を目にするすべてのものに適用しています。

たとえば、白を取り上げます。 雑誌のページ、新聞、印刷用紙はすべて白ですが、並べてみると、それぞれの白がかなり異なっていることがわかります。 新聞用紙はより黄色く見え、新聞の横にある印刷用紙はおそらく最初に考えていたよりもさらに明るく見えるでしょう。これは、私たちの目はシーンの最も明るい部分を捉え、それを白と呼び、他のすべての色をこの「明るいレベル」と比較して判断する傾向があるためです。

色の記憶によって色の見え方が全く変わってしまうのを説明するボー・ロット氏による画像をご紹介します。

人間の知覚、心理学的面、色彩感度、色覚

視覚における錯視の画像提供:ボー・ロット氏

立方体の上側と前側の中央のコマは、前側がオレンジ、上側が茶色と、かなり違って見えますよね?しかし、残りの正方形をマスクすると、実は両者が同じものであることがわかります。これは、脳が無意識のうちに光源を考慮し、立方体の手前の色が影になると補正しているからです。これはすごいですね。

基準がなければ、私たちはそれぞれ独自の方法で色を認識します。また、人によって視覚的な手がかりが異なるため、色の解釈や捉え方も変わってきます。正確な色が重要な業界では、これを理解することが非常に重要です。  

人間の色覚を評価

ファンズワース・マンセル 100 ヒューテスト(FM100 ヒューテスト)は、色識別能力を効果的に評価します。このテストには、X-Rite SpectraLight QCJudge QC照明装置などに備わる、標準昼光条件を使用します。弊社のオンライン講座「色と見えの理論」では、このテストが習得内容となっています。

次のトピック…

「色彩感覚」シリーズでは、印刷、製造、写真の分野に与える影響、環境人間の特性が色の見えにどのように影響するかを紹介します。 

こちらの動画では、カラーサイエンティストが色覚の基本を説明します。